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中小企業の採用・入社書類ペーパーレス化ガイド|履歴書から労働契約書まで電子化して採用業務を月6時間削減する方法

「採用が決まったのに、入社書類の印刷・郵送・ファイリングだけで半日かかる。」そんな経験はありませんか?

従業員30人以下の中小企業では、採用担当が総務や経理を兼任しているケースがほとんどです。労働条件通知書の印刷と押印、マイナンバーの紙回収、履歴書のファイリング——これらをすべて紙で処理すると、採用1名あたり2~3時間が事務作業に消えていきます。

この記事では、採用・入社書類のペーパーレス化について、電子化できる書類・法的根拠・おすすめツール・費用相場を中小企業の経営者向けにわかりやすく解説します。

目次

採用・入社書類のペーパーレス化とは?

採用選考から入社手続きまでに発生するすべての紙書類を電子データに置き換え、メールやクラウドツールで完結させる取り組みです。

電子化の対象となる主な書類は次の通りです。

履歴書・職務経歴書: 紙受付をやめ、専用フォームやクラウド採用管理ツールで受け取る
労働条件通知書: 2024年4月の改正労働基準法施行規則で電子交付が明文化された法定書類
雇用契約書: 電子署名(クラウドサイン等)を使って締結可能
入社誓約書・個人情報同意書: PDF+電子署名、またはWebフォームで回収
マイナンバー収集票: 専用の人事労務SaaS(クラウド型の人事管理ソフト)を使えば法令要件を満たした形で電子収集できる
通勤経路申請書・給与振込先申請書: Googleフォームや人事ポータルで電子化

「紙でないと法的に問題がある」という思い込みは、2024年以降には当てはまりません。労働基準法の改正により、労働条件通知書の電子メール交付が原則解禁されています。

電子化による削減効果と導入メリット

採用1名あたりの事務時間を紙運用と電子化後で比較してみましょう。

業務 紙運用 電子化後
書類テンプレート印刷・封入 30分 0分(メール送付)
応募者からの書類回収・確認 60分(郵送待ち含む) 15分(クラウド上で確認)
マイナンバー収集・本人確認 45分 10分(ツール自動処理)
書類ファイリング・保管 30分 5分(クラウドに自動保存)
合計(採用1名あたり) 約2時間45分 約30分

年間採用が4名なら、削減時間は約9時間。アルバイトを含めて月1名ペースで採用している企業では、年間25時間以上の削減になります。

紙をやめることで得られるメリットはほかにもあります。

書類紛失リスクの解消: 紙が行方不明になる事故が根絶できる
遠方・地方からの採用に対応: 書類郵送が不要になりオンライン完結で採用できる
保管スペースの削減: 退職者分を含めて5年の保存義務があるが、クラウドなら場所を取らない
担当者不在でも手続きが進む: 候補者が自分でフォームに入力・提出できる

具体的な進め方

1. 現在使っている書類を全部書き出す

最初のステップは棚卸しです。採用から入社までに発生するすべての紙書類を一覧化してください。「存在を忘れていた書類」が必ず出てきます。

採用フェーズ別のチェックリスト例は以下の通りです。

・採用選考: 応募書類(履歴書・職務経歴書)、面接評価シート
・採用内定: 内定通知書、入社承諾書
・入社手続き: 雇用契約書、労働条件通知書、入社誓約書、個人情報同意書、マイナンバー収集票、通勤経路申請書、給与振込先申請書
・社会保険: 健康保険・厚生年金の加入届出に必要な情報収集

2. 電子化ツールを選ぶ

採用・入社書類の電子化には大きく2つのアプローチがあります。

①人事労務SaaSを使う(従業員10名以上に推奨)
SmartHR・freee人事労務・マネーフォワード クラウド人事管理などの人事労務SaaSには、マイナンバー収集・書類送付・電子署名がセットになっています。入社手続きを一気通貫で電子化できるため、複数ツールを使い分ける手間がありません。

②無料・低コストツールを組み合わせる(従業員10名以下や予算を抑えたい場合)
Googleフォームで書類収集 → Google Driveで保管 → クラウドサインで電子署名、という組み合わせでも実現できます。月額数千円から始められる点が魅力です。

3. ツールの費用比較

ツール 月額目安(税込) 特徴
SmartHR(入社手続き) ¥6,600~(従業員数で変動) 入社手続き・労務管理が一体化。マイナンバー収集も対応
freee人事労務 ¥3,980~(5名まで) freee会計との連携がしやすい。中小規模に人気
クラウドサイン(電子署名) ¥10,780~(基本プラン) 雇用契約書・業務委託契約専用。国内シェア1位
Googleフォーム+Google Drive ¥0(無料) 書類収集・保管のみ。電子署名は別途対応が必要

※執筆時点(2026年6月)の参考価格です。最新料金は各サービスの公式サイトでご確認ください。

4. 候補者への案内フローを整備する

ツールを導入しただけでは定着しません。次の2点を必ず整備してください。

書類提出の案内メールテンプレートを作る: 内定通知と同時に「入社書類の提出方法」を説明するメールをテンプレート化しておく
マイナンバー提出の案内文を用意する: 電子収集の場合、本人確認書類の提出方法(身分証の画像アップロード等)を明記した案内文が法的に必要

かかるコストと使える補助金

初期費用の目安は、人事労務SaaSを採用する場合で月額4,000円~10,000円程度です。電子署名のみであれば月額5,000円前後から始められます。

IT導入補助金(デジタル化基盤導入類型)を活用すると、人事労務ソフト・電子契約ツールの導入費用を最大75%補助することができます(2026年度・執筆時点)。補助金申請には、補助金対応の認定IT事業者を通じてツールを購入する必要があります。gBizIDプライム(行政サービスへのオンラインログインに使うID)の取得が申請に必須なので、早めに準備を進めておきましょう。

よくある失敗と回避策

失敗1: マイナンバーだけ紙で残してしまう
マイナンバーの電子収集には「適切なセキュリティ対策」が求められます。一般的なGoogleフォームでの収集は推奨されません。SmartHRやfreee人事労務のような専用ツールを使うことで、個人番号法(マイナンバー法)の要件を満たした形で電子収集できます。

失敗2: デジタル機器が苦手な候補者への対応を忘れる
高齢のパート・アルバイトや、スマートフォンを使い慣れていない候補者には、紙の補助フローを残しておくことも現実的な選択です。「全員一律に電子化」ではなく、例外フローをあらかじめ決めておきましょう。

失敗3: 既存の紙書類の扱いを決めずに移行してしまう
電子化を始める前に、今ある紙書類を「スキャンして電子保管」するか「そのまま紙で残す」かを決めておきましょう。雇用に関する書類の保存義務は原則5年間です。

まとめ

採用・入社書類のペーパーレス化は、紙をなくすだけでなく、採用担当者が「書類の印刷・郵送・ファイリング」から解放されて候補者とのコミュニケーションに集中できる環境を作る取り組みです。

2024年の法改正で電子化の根拠が整い、月額数千円から使えるツールも揃っています。採用が月1名以下のペースでも、年間10時間以上の事務時間を削減できます。

まずは現在使っている採用書類を書き出す「棚卸し」から始めてみてください。

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