社内アンケートや備品申請書、研修後のフィードバック収集。紙やメールで対応していると、集計だけで毎回2~3時間が消えていきます。催促の連絡も手作業で、回答が揃ったあとはExcelへの転記もすべて手動。担当者の負担が積み重なる割に、データが活かされず終わることも多い状況です。
この記事では、Microsoft 365に標準搭載されているフォームツール「Microsoft Forms(マイクロソフト・フォームズ)」について、従業員10~100名規模の中小企業向けに解説します。Googleフォームとの違い、作り方から配信・集計活用まで、導入コストゼロで月6時間の集計作業を削減した実践手順をお伝えします。
Microsoft Formsとは?(経営者にわかる言葉で)
Microsoft Formsは、アンケート・申請フォーム・テストなどを簡単に作成・配信・集計できるツールです。Microsoft 365(旧Office 365)に標準搭載されており、すでに利用している企業は追加費用なしで今日から使い始めることができます。
紙やGoogleフォームとの最大の違いは、Microsoft 365の他ツールとの連携の深さです。回答データはExcelに自動保存され、TeamsやOutlookから直接配信できます。Power Automate(パワーオートメイト、業務の自動連携ツール)と組み合わせると「回答が届いたら担当者にTeams通知を自動送信する」といった仕組みも構築できます。
| 比較項目 | 紙・メール収集 | Microsoft Forms |
|---|---|---|
| フォーム作成時間 | 1~2時間(Word設計+印刷) | 15分(ドラッグ&ドロップ) |
| 集計作業 | 手入力で1~3時間 | Excelに自動出力(ゼロ) |
| 回答漏れの確認 | 個別に連絡が必要 | 回答一覧で即確認 |
| スマホ対応 | 不可(紙のみ) | スマホから回答可能 |
| 自動通知・リマインダー | 手作業で連絡 | Power Automateで自動化可能 |
導入のメリット(数字で示すROI)
1. 集計作業が自動化され月6時間を削減できる
月2回のアンケートを実施している企業を例にすると、1回あたりの集計(手入力+転記)に3時間かかっていたとします。Microsoft Formsに切り替えると、回答データはExcelへ自動出力されるため集計のための手入力がゼロになります。結果として月6時間の作業削減が実現できます。
| 業務 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| フォーム作成 | 月2時間(Word+印刷) | 月30分(ドラッグ&ドロップ) |
| 回答集計・転記 | 月6時間(手入力) | 月0時間(自動出力) |
| 催促・回収フォロー | 月1時間(個別連絡) | 月10分(一覧確認) |
| 合計 | 月9時間 | 月40分 |
2. 回答率が向上してデータの質が改善する
紙のアンケートは机の上で放置されたり、回収タイミングが揃わなかったりすることがあります。Microsoft FormsはスマホからいつでもURLを開いて回答でき、Teamsのチャットにリンクを貼るだけで全員に届きます。回答率が20~30%改善する事例が報告されており、「どの部署の残業が多いか」「どの研修の満足度が低いか」といった経営判断に活かせるデータが集まるようになります。
3. 印刷・保管コストが削減できる
年間120枚の紙アンケート(10名×12回)を印刷・配布・回収・保管していた場合、印刷費以上に担当者の手間が大きな負担です。電子化により保管スペースも不要になり、過去データの検索も瞬時にできます。
具体的な進め方(ステップバイステップ)
1. フォームを作成する
Microsoft 365のアカウントでサインインし、ブラウザから「forms.office.com」にアクセスします。「新しいフォーム」をクリックするだけで作成が始まります。設問タイプは以下から選択できます。
・選択肢(ラジオ・チェックボックス): 満足度調査や複数選択アンケートに最適
・テキスト入力: 自由記述や短い回答を集めたい場合
・評価(星・数値): 5段階評価などスコア化したい場合
・日付選択: 希望日や申請日の収集に便利
・ランキング: 優先順位づけのアンケートに使える
設問はドラッグ&ドロップで順番を入れ替えられます。10問程度のフォームなら15分前後で完成します。完成したら画面右上の「プレビュー」ボタンでスマホ・PC両方の表示を確認してから配信しましょう。
2. 配信範囲と共有方法を設定する
フォームには共有範囲の設定があります。社内向けは「組織内のユーザーのみ」、取引先や顧客向けは「全員が回答可能」を選択してください。
配信方法は3通りから選べます。
・URLを送付: OutlookやTeamsでリンクを送るだけ。最もシンプルな方法
・QRコードを生成: 印刷して店頭・掲示板・名刺に貼れる
・TeamsやOutlookに直接埋め込み: アプリを離れずに回答できる
設定画面から回答の締め切り日時も指定できます。締め切りを設定しておくと、期限後に自動でフォームが閉じられるため管理の手間が減ります。
3. 回答データを活用する
回答が集まったら「回答」タブでリアルタイムの集計グラフを確認できます。「Excelで開く」ボタンを押すと全回答データをExcelファイルに書き出せます。グラフや自由記述をそのまま経営会議の資料に貼り付けられるため、報告資料の作成時間も短縮されます。
より高度な活用として、Power Automateとの連携が効果的です。「Formsに新しい回答が届いたらTeamsに通知する」「締め切り3日前にリマインダーメールを自動送信する」などのフローが、用意されたテンプレートを選ぶだけで設定できます。プログラミングの知識は不要です。
Power Automateの詳しい活用法については、中小企業のPower Automate承認フロー活用ガイドもあわせてご覧ください。
かかるコストと使える補助金
【コスト】費用の目安(執筆時点: 2026年6月)
Microsoft Formsは、Microsoft 365のすべてのビジネスプランに含まれています。Microsoft 365を未契約の場合、最も低コストで始められるのは「Business Basic」プランです。
| プラン | 月額(税抜) | 従業員10名の場合 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| Microsoft 365 Business Basic | ¥750/ユーザー | ¥7,500/月 | Webブラウザ版Office+Teams+Forms |
| Microsoft 365 Business Standard | ¥1,500/ユーザー | ¥15,000/月 | デスクトップ版Officeも利用可能 |
| すでにMicrosoft 365を契約済み | 追加費用なし | 追加費用なし | Forms利用をすぐに開始できる |
多くの中小企業はすでにMicrosoft 365を利用しているため、実質的な追加コストゼロで導入できます。
【補助金】IT導入補助金との組み合わせ
Microsoft 365はIT導入補助金の対象ツールに登録できる場合があります(認定IT事業者経由での申請が必要)。インボイス対応・電子帳簿保存法対応を組み合わせた「デジタル化基盤導入類型」では、最大350万円の補助を受けられる可能性があります。2025年度公募の詳細は、認定支援機関や登録ベンダーにご確認ください。
よくある失敗と回避策
・失敗①「組織外のパート・業務委託者が回答できない」: フォームを作成した直後のデフォルト設定は「組織内のユーザーのみ」です。社外の方が回答者に含まれる場合は、必ず「全員が回答可能」に変更してからURLを送付してください。設定変更を忘れると「アクセス権がありません」と表示されて回答できない状態になります。
・失敗②「締め切りを設定し忘れてデータが散らばる」: フォームの「設定」から回答の受付期間を指定できます。締め切りを明確にすることで回答率も向上します。期限後は自動でフォームが閉じられるため、回答漏れの確認作業も不要になります。
・失敗③「設問が多すぎて回答率が下がる」: 社内アンケートの適切な設問数は5~8問が目安です。回答に5分以上かかるフォームは途中離脱が増えます。目的を1つに絞り、設問を最小限に抑えることが回答率維持のコツです。
・失敗④「データを集めても経営に活かしていない」: 月次ミーティングのアジェンダに「Formsのデータ確認と改善アクション」を組み込む運用ルールを最初に決めておきましょう。データは取得するだけでなく、具体的なアクションに紐づけて初めて価値が生まれます。
本記事のまとめ
Microsoft Formsは、Microsoft 365をすでに利用している企業なら今日からコストゼロで使い始めることができます。紙やメールで対応していたアンケート・申請フォームをデジタル化するだけで、月6時間以上の集計作業を削減できます。
・Microsoft 365契約済みなら追加費用なし: 新たなコストなしですぐに始められる
・集計作業がゼロになる: Excelへの自動出力で手入力を排除できる
・スマホから回答できる: 回答率が向上しデータの質が上がる
・Power Automateと連携できる: 通知・リマインダー・承認フローも自動化できる
まずは社内で月1回以上実施しているアンケートや申請書類を1件選んで、Formsに移行することから始めてみてください。小さな成功体験がDX推進の自信につながります。
業務効率化ツールのさらなる活用については、AIマスター.JPでAIを使った業務自動化のノウハウも解説しています。あわせてご覧ください。
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