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中小企業のクラウド型経費精算システム比較2026|楽楽精算・マネーフォワードクラウド経費・ジョブカン経費の選び方と月10時間削減の実践手順

「月末になると経理担当者が残業続き」「領収書の紛失で精算が通らない」「承認ルートが複雑で申請が2週間止まった」——従業員30名ほどの会社でも、経費精算の非効率はじわじわと現場を疲弊させます。

経費精算は、多くの中小企業で今もアナログ運用が続く業務の一つです。紙の申請書・Excelへの転記・領収書の現物保管——この組み合わせが経理の時間を奪い、承認の詰まりが社員の不満を生みます。

この記事では、中小企業で導入実績の多い3つのクラウド型経費精算システム——楽楽精算・マネーフォワードクラウド経費・ジョブカン経費精算——を機能・費用・使いやすさの観点で比較します。自社に合ったシステムの選び方と、導入後に月10時間の経理作業を削減するための実践手順もあわせて解説します。

目次

クラウド型経費精算システムとは?(経営者にわかる言葉で)

クラウド型経費精算システムとは、社員が立替払いした交通費・接待費・備品購入費などを、スマートフォンやパソコンから申請し、上司が画面上で承認・差戻しを行い、経理担当者が集計・仕訳データを会計ソフトに取り込むまでを一元化するサービスです。

「クラウド型」のポイントは2つあります。①インターネット経由でどこからでも使える(テレワーク中でも申請・承認が完結する)、②領収書をスマホで撮影してデジタル保存できる(紙の現物保管が不要になる)——この2点が、紙・Excelとの決定的な違いです。

2024年1月から完全義務化された電子帳簿保存法への対応という観点からも、タイムスタンプ付きの電子保存が法令要件を満たす形で実現できるため、「7年間の紙保管」という経理の負担がなくなります。

導入のメリット——数字で示すROI

クラウド型経費精算システムを導入した中小企業では、経理部門の作業時間が大幅に削減されます。具体的にどの業務がどれだけ変わるのか、導入前後で比較します。

業務 導入前 導入後
領収書の収集・確認 月4時間(原本の回収・目視確認) 月0.5時間(画像確認のみ)
申請データのExcel転記 月3時間 月0時間(システムが自動集計)
承認フローの管理・催促 月2時間 月0.5時間(システムが自動通知)
会計ソフトへの入力 月3時間(手入力) 月0.5時間(CSVインポート)
合計 月12時間 月1.5時間

合計で月10時間以上の削減が見込めます。経理担当者の時給を2,500円と仮定すると、年間約30万円相当の工数が浮く計算です。システムの月額費用が社員30名で約1万5,000円程度であれば、年間コスト18万円に対して年間30万円の工数削減——費用対効果はプラスから始まります。

時間以外のメリットも重要です。

領収書紛失リスクがなくなる: 現物を保管しなくてよいため「出張から戻ったら領収書がない」というトラブルが消えます
不正防止と内部統制の強化: 申請者・承認者・経理担当者の役割が分離され、証憑(領収書画像)と申請内容の突合が自動化されます
電子帳簿保存法への対応: タイムスタンプ付きの電子保存で法令要件を満たせるため、紙での7年保管が不要になります
テレワーク対応: 社員がどこにいても申請・承認が完結し、経理担当者も出社しなくて済みます

楽楽精算・マネーフォワードクラウド経費・ジョブカン経費精算を比較する

国内の中小企業で導入実績の多い3ツールを比較します。

比較項目 楽楽精算 マネーフォワード
クラウド経費
ジョブカン
経費精算
向いている企業規模 10~500名 10~100名 5~200名
交通費の自動計算 ◎(IC乗車履歴連携) ◎(IC乗車履歴連携) ○(路線検索連携)
会計ソフト連携 弥生・freee・MFクラウド会計等 MFクラウド会計と深く連携 弥生・freee等
承認フローの
カスタマイズ性
◎(多段階・部門別承認に対応) ○(標準的な承認フロー) ○(標準的な承認フロー)
モバイルアプリ iOS・Android対応 iOS・Android対応 iOS・Android対応
月額費用目安(税抜) 500~700円/ユーザー 500円前後/ユーザー 400~600円/ユーザー
電子帳簿保存法対応
サポート体制 電話・メール・チャット メール・チャット中心 電話・メール・チャット

※料金は執筆時点(2026年7月)の各社公式サイト情報をもとにした目安です。プランや契約条件により変動するため、必ず公式サイトでご確認ください。

1. 楽楽精算(ラクスが提供)

国内導入社数が最大規模のクラウド型経費精算システムです。IC乗車履歴との連携による交通費の自動計算精度が高く、複雑な承認フロー——部門ごとに承認者が異なる、金額帯によって承認経路が変わる——にも柔軟に対応できます。

電話によるサポート窓口が充実しており、「ITが苦手な経理担当者でも安心して使い始められる」と評価する経営者が多いのが特徴です。一方で機能が豊富なぶん初期設定にボリュームがあり、社内の承認フローを事前に整理してから導入に臨むと手戻りを防げます。

2. マネーフォワードクラウド経費(マネーフォワードが提供)

クラウド会計・給与・請求書など「マネーフォワードクラウド」シリーズの一製品です。経費精算で承認されたデータが自動でクラウド会計の仕訳データに変換されるため、すでに同シリーズの会計・給与ソフトを使っている企業では特にメリットが大きくなります。

UIがシンプルで操作しやすく、スタッフが申請から承認まで直感的に使えます。「経費精算も会計も給与も、MFクラウドで一気に揃えたい」という企業にとって最適な選択肢です。

3. ジョブカン経費精算(DONUTSが提供)

勤怠管理・シフト管理・労務管理など人事・HR系クラウドサービスを幅広く提供するジョブカンシリーズの経費精算ツールです。同シリーズで揃えることで、従業員データの一元管理とコスト効率の両立が図れます。

月額費用が比較的抑えめで、「まず経費精算だけデジタル化したい」という小規模企業でも始めやすい価格設定が魅力です。

具体的な進め方(ステップバイステップ)

1. 現状の経費精算にかかる時間をコストに換算する

導入前の準備として、現在の経費精算業務にかかっている時間・コストを計測します。「経理担当者が月に何時間かけているか」「領収書紛失トラブルは年に何件か」「承認待ちで平均何日かかるか」を数字で把握しておくと、ツール選定の根拠になり、導入後の効果測定にも使えます。

2. 自社の優先条件を決める

以下のポイントを社内で整理したうえで、ツールを絞り込みます。

会計ソフトとの連携: すでに使っている会計ソフト(弥生・freee・マネーフォワード等)との連携のしやすさを最優先に確認する
承認フローの複雑さ: 単純な「申請→上長1名→経理」であれば3ツールどれでも対応できる。部門別・金額別で承認者が変わる場合は楽楽精算が有利
社員のITリテラシー: スマホ操作に慣れていない社員が多い場合は、UIのシンプルさとサポート体制を重視する
トータルコスト: 月額費用だけでなく初期費用・導入支援費用も含めて12か月分を試算する

3. 無料トライアルで現場の声を集める

3ツールとも無料トライアル期間が設けられています。申請者役・承認者役・経理担当者役の3役が実際に試用し、「ここが使いにくい」「こんな操作がわからない」という声を集めてから本導入を決めることで、「ツールを入れたが誰も使わない」という失敗を防げます。

4. 導入と並行して社内ルールを文書化する

ツール導入と同時に、経費精算の社内ルール——申請期限・対象費目・上限金額・添付が必要な書類の種類——を明文化して全社員に周知します。簡単な操作手順と申請フローの一覧表を用意しておくと、現場への定着が早まります。

かかるコストと使える補助金

費用の目安(従業員30名の場合、執筆時点2026年7月)です。

ツール 月額費用(税抜・目安) 従業員30名での月額 年間コスト目安
楽楽精算 500~700円/ユーザー 約15,000~21,000円 約18~25万円
マネーフォワードクラウド経費 500円前後/ユーザー 約15,000円 約18万円
ジョブカン経費精算 400~600円/ユーザー 約12,000~18,000円 約14~22万円

※初期費用(システム設定費)が別途かかる場合があります。詳細は各社にお問い合わせください。

経費精算システムの導入費用は、IT導入補助金のデジタル化基盤導入類型の対象となる場合があります(補助率最大75%)。ただし補助対象ツールの登録状況は年度・公募回によって変わります。経済産業省のIT導入補助金公式サイトで最新の登録ツール一覧をご確認ください(執筆時点2026年7月)。

また、業務改善助成金(厚生労働省)の活用でツール購入費・設定費の最大9割を補助できるケースもあります。最寄りの労働局またはハローワークにご相談ください。

よくある失敗と回避策

承認フローを整理しないまま導入した: 経費精算のデジタル化は、現行フローをそのままシステムに移すだけでは効果が半減します。「誰が何を承認するか」を事前に整理し、フロー図を描いてから設定に臨むことで初期設定の手戻りを防げます
経営者・管理職だけが使い、現場社員の申請が紙のまま: 経費申請は全社員が関わる業務です。スマホ操作が苦手な社員向けの個別サポートを導入後1か月間設けることで、現場への定着が大きく変わります
会計ソフトとの連携設定を後回しにした: 承認済みデータを会計ソフトに取り込む際の仕訳コードや勘定科目の設定を経理担当者と事前にすり合わせておかないと、毎月の月次作業で手戻りが発生し続けます
電子帳簿保存法の「検索要件」を見落とした: スマホで領収書を撮影してクラウドに保存するだけでは法令要件を満たしません。システムが「取引年月日・取引先・金額」での検索に対応しているかを事前に確認してください

本記事のまとめ

クラウド型経費精算システムを導入することで、領収書の収集・転記・保管にかかる月10時間以上の経理作業を削減できます。3ツールの使い分けのポイントをまとめます。

楽楽精算: 複雑な承認フローや多人数での運用に強い。電話サポートを重視する企業に
マネーフォワードクラウド経費: MFクラウド会計・給与を使っている企業に。データ連携がシームレスで経理作業の負担が最小化される
ジョブカン経費精算: 人事・勤怠管理もジョブカンで揃えたい企業、または月額コストを抑えたい小規模企業に

いずれのツールも無料トライアルが用意されています。申請者・承認者・経理担当者の3役が実際に操作してみることが、ツール選定で最も確実な判断方法です。

経費精算の電子化の基本的な進め方については、中小企業の経費精算を電子化する方法もあわせてご覧ください。

クラウドサービスに社員の経費データを預けるうえでは、二要素認証(ログイン時の本人確認を2段階にする仕組み)の有効化や、退職者アカウントの即時削除を運用ルールとして定めることが重要です。中小企業のセキュリティ対策全般については、姉妹サイトセキュリティマスターズ.TOKYOでも詳しく解説しています。

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