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IT導入補助金・ものづくり補助金を受け取ったら税金はどうなる?中小企業の補助金税務処理と圧縮記帳活用ガイド

IT導入補助金やものづくり補助金の採択が決まったとき、経営者の多くが「受け取ったお金は税金がかかるのか」と疑問を持ちます。

補助金は「もらえるお金」というイメージがありますが、税務上は収入として計上しなければならず、法人税・所得税の課税対象になります。しかし圧縮記帳という制度を活用すれば、課税を翌期以降に繰り延べて資金繰りへの影響を最小限に抑えることができます。

この記事では、IT導入補助金・ものづくり補助金・事業再構築補助金を受け取った中小企業の経営者向けに、補助金の税務処理の基本と圧縮記帳の具体的な方法をわかりやすく解説します。

目次

補助金を受け取ったら税金はかかるのか?

結論からいうと、補助金は税務上「益金(利益)」として計上しなければならず、法人税・所得税の課税対象になります。「国や自治体からのお金だから非課税では?」と思いがちですが、消費税は非課税でも法人税・所得税は課税されます。

補助金の種類 消費税 法人税・所得税
IT導入補助金 非課税 課税対象(益金)
ものづくり補助金 非課税 課税対象(益金)
事業再構築補助金 非課税 課税対象(益金)
業務改善助成金 非課税 課税対象(益金)

たとえば従業員20名の製造業がものづくり補助金で300万円を受け取った場合、その事業年度の益金が300万円増加します。法人税の実効税率を約30%とすると、約90万円の税負担が増える計算です。

補助金を使って設備を購入した年に90万円の追加税負担が一度に来ると、資金繰りが厳しくなる可能性があります。これを解決するのが「圧縮記帳」です。

圧縮記帳とは?課税を翌期以降に繰り延べる仕組み

圧縮記帳(法人税法第42条)とは、補助金で固定資産を取得したとき、その固定資産の取得価額を補助金相当額だけ減らすことで、当期の課税を抑える仕組みです。

重要なのは「課税が消える」のではなく「先送りになる」という点です。資産の取得価額が下がる分、減価償却費が少なくなり将来の費用が減るため、長期的には同額の税を支払うことになります。しかし資金が手元に残る期間が延びることで、資金繰り上のメリットは大きくなります。

項目 圧縮記帳なし 圧縮記帳あり
補助金300万円受領時の税負担 当期に約90万円 当期はほぼゼロ
固定資産の帳簿価額(取得価額500万円の場合) 500万円のまま 200万円(500万円-300万円)
毎期の減価償却費 多い(将来の節税効果大) 少ない(将来の節税効果小)
長期的な税額合計 ほぼ同じ ほぼ同じ

IT導入補助金への適用:ソフトウェアが対象になるかが鍵

圧縮記帳が適用できるのは「固定資産を取得した場合」が条件です。IT導入補助金で導入するITツールの場合、次のように判断します(執筆時点: 2026年6月)。

圧縮記帳の対象になる: 買い切り型のソフトウェア、POSレジ・タブレット等のハードウェア(固定資産として資産計上できるもの)
対象にならない: kintone・freee・SmartHRなどクラウドSaaSの月額・年額利用料(費用として処理するため固定資産ではない)

現代のITツールの多くは月額サブスクリプション型であるため、IT導入補助金のケースでは圧縮記帳が適用できないことが多いという点に注意が必要です。一方でものづくり補助金で工作機械・設備を導入する場合は、ほぼ確実に圧縮記帳の対象になります。

IT導入補助金の「デジタル化基盤導入類型」などでPOSレジやタブレット等のハードウェアを補助対象に含める場合は、固定資産として資産計上し圧縮記帳を適用できます。

具体的な税務処理の進め方

1. 補助金の収入計上タイミングを確認する

補助金の収入計上は「交付決定通知を受けた日」が原則です。実際の入金前でも、交付決定通知を受けた事業年度に益金として計上する必要があります。決算をまたぐ場合は「未収補助金」として計上します。

2. 固定資産の取得と補助金受領を同一事業年度に行う

圧縮記帳を適用するには、補助金の交付決定と固定資産の取得が同じ事業年度内に完結している必要があります。「補助金は今期に入ったが設備は来期に購入する」という場合は圧縮記帳を適用できないため、交付スケジュールと設備購入計画を事前に調整することが重要です。

3. 圧縮記帳の方式を選ぶ

圧縮記帳には2つの方式があります。

方式 特徴 向いているケース
直接減額方式 固定資産の帳簿価額を直接減らす。会計処理がシンプル 中小企業の大半(処理が簡単)
積立金方式 利益剰余金に圧縮積立金を積む。固定資産の帳簿価額は変わらない 正確な資産価額を帳簿に残したい場合

中小企業では処理のシンプルさから直接減額方式が一般的です。

4. 法人税申告書に圧縮記帳の明細を添付する

圧縮記帳を適用する場合は、法人税の確定申告書に「圧縮記帳の明細書(別表十三)」を添付します。この書類の作成は顧問税理士に依頼するのが確実です。

よくある失敗と回避策

補助金を受け取っても確定申告で申告しなかった: 補助金は必ず益金として申告が必要です。無申告の場合、税務調査で追徴課税されるリスクがあります。採択が決まった時点で顧問税理士に連絡しましょう。

サブスクリプション型ITツールに圧縮記帳を適用しようとした: 月額利用料は費用(損金)であり固定資産ではないため、圧縮記帳は適用できません。導入するITツールが資産計上できるかどうかを事前に税理士と確認してください。

補助金受領と設備取得が別の事業年度にまたがった: 圧縮記帳の要件を満たせず、補助金受領年度に全額課税されます。補助金の交付スケジュールと設備購入計画を事前に調整することが重要です。

補助金の返還が発生したのに処理を誤った: 補助金の一部または全部を返還しなければならない場合(目的外使用等)は、返還額を損金算入できます。返還が発生した場合は速やかに税理士に相談してください。

税理士への相談タイミング

補助金に関する税務処理は、次の3つのタイミングで税理士に相談することを強く推奨します。

申請前: 補助金で取得予定の資産が圧縮記帳の対象になるかを事前確認する。対象にならない場合でも、別の節税手法を組み合わせられる可能性があります。
採択後・交付決定後: 益金の計上時期と圧縮記帳の適用可否を確認し、決算計画を立て直す。
確定申告前: 圧縮記帳の明細書(別表十三)の作成を依頼し、申告書への添付を確認する。

補助金採択が決まった時点で速やかに顧問税理士へ連絡することが、税務トラブルを防ぐ最善策です。なお、補助金の受け取りに伴う会計業務をデジタル化したい場合は、姉妹サイトクラウドマスターズ.TOKYOのクラウド会計ソフト導入ガイドも参考にしてください。

本記事のまとめ

IT導入補助金・ものづくり補助金等の補助金は消費税は非課税ですが、法人税・所得税の課税対象になります。補助金で固定資産を取得した場合は圧縮記帳(法人税法第42条)を活用することで、課税を翌期以降に繰り延べて資金繰りへの影響を抑えられます。

・補助金は「益金」として計上が必要。消費税は非課税でも法人税・所得税は課税対象
・圧縮記帳は「課税をなくす」のではなく「先送りにする」仕組み
・IT導入補助金の多くはSaaS月額利用料のため圧縮記帳の対象外になるケースが多い
・補助金の収入計上は交付決定通知を受けた事業年度が原則
・圧縮記帳は補助金受領と固定資産取得を同一事業年度内に完結させる必要がある
・申請前・採択後・確定申告前の3タイミングで顧問税理士に相談することを推奨

本記事は一般的な解説を目的としており、個別の税務判断は必ず顧問税理士にご相談ください。

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