「注文をFAXで受け取って、Excelの受注台帳に手入力して、在庫を確認して、納品書を作成して……」。従業員10~100名規模の中小企業では、受発注に関わる作業だけで月25~40時間を費やしていることが珍しくありません。
受発注システムとは、注文の受付から納品書・請求書の発行までをクラウド上で一元管理するツールです。FAXや電話での注文をオンラインに切り替え、手入力・転記・確認といった定型作業を大幅に削減できます。
この記事では、中小企業の受発注業務を自動化する方法について、導入の手順・ツール比較・コスト・補助金情報まで、従業員10~100名規模の企業向けにわかりやすく解説します。

受発注の自動化とは?FAXとExcelから脱却する仕組み
受発注の自動化とは、クラウド型の受発注システムを使って、注文の受付・確認・処理・書類発行を一つの画面で完結させることです。
従来のFAX+Excel管理では、次のような手作業が毎日発生します。
・FAXの読み取り: 届いた注文書を目視で確認し、品番・数量・納期を読み取る
・Excelへの転記: 読み取った内容をExcelの受注台帳に手入力する
・在庫の確認: 別のExcelや倉庫の棚を確認して在庫数を照合する
・納品書・請求書の作成: Excelテンプレートに転記して印刷・送付する
クラウド型の受発注システムを導入すると、取引先がWeb画面から直接注文を入力するため、FAXの読み取りと転記が不要になります。在庫データとも自動連携するので、在庫切れの確認もリアルタイムです。納品書・請求書もボタン一つで自動生成されます。
| 業務 | 従来(FAX+Excel) | 自動化後(クラウド受発注) |
|---|---|---|
| 注文の受付 | FAX→目視確認 | Web画面で自動受信 |
| 受注データの入力 | Excelに手入力(月8時間) | 自動登録(0時間) |
| 在庫確認 | 別ファイル・倉庫で照合 | リアルタイム自動照合 |
| 納品書・請求書作成 | テンプレに転記(月6時間) | ボタン一つで自動生成 |
| 入力ミスの確認・修正 | 月3~5時間 | ほぼゼロ |
導入のメリット — 数字で見る業務改善効果
受発注システムを導入すると、中小企業の現場ではどれくらいの効果があるのでしょうか。
・転記作業の削減: FAXの読み取り・Excel入力がなくなり、月8~12時間が削減されます。品番の読み間違いや数量の入力ミスもゼロに近づきます。
・書類作成の自動化: 受注データから納品書・請求書を自動生成できるため、月6~8時間の書類作成時間がなくなります。
・在庫確認の即時化: 在庫データがリアルタイムで連携されるため、「受注したのに在庫がなかった」というトラブルを防げます。欠品対応に費やしていた月3~5時間が不要になります。
・ペーパーコストの削減: FAX用紙・トナー・郵送費が減り、年間5~10万円のコスト削減になります。
これらを合計すると、月20~25時間の工数削減と年間60~80万円相当のコスト削減が見込めます。

具体的な進め方 — 3つのステップで導入する
1. 現状の受発注フローを書き出す
まず、自社の受発注業務を「注文の受付→データ入力→在庫確認→出荷手配→書類発行→入金確認」のように工程分解します。各工程にかかっている時間と担当者を記録してください。
特に確認すべきポイントは3つです。
・注文の受付方法: FAX・電話・メール・Webフォームのどれが何割を占めているか
・データ管理の現状: Excelの受注台帳は何人が、どの頻度で更新しているか
・取引先の対応力: 主要取引先がWeb発注に切り替えられるかどうか
2. ツールを選定して無料トライアルで試す
中小企業向けの主要な受発注システムを比較します(執筆時点: 2026年4月)。
| ツール | 月額目安(税抜) | 特徴 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| CO-NECT | 受注側は無料~ | 発注側もフリープランあり | まず無料で始めたい企業 |
| 楽楽販売 | ¥60,000~ | 受発注・販売管理を一元化 | 販売管理まで統合したい企業 |
| BtoBプラットフォーム 受発注 | 要問い合わせ | 大手との取引実績が豊富 | 取引先の指定で導入する企業 |
初めて導入する企業には、受注側が無料で使えるCO-NECTがおすすめです。まずは取引量が多い上位5社との取引を対象に、2週間のトライアルで運用感を確認しましょう。
3. 段階的に取引先を移行する
全取引先を一斉に切り替えるのではなく、段階的に移行します。
・第1段階(1か月目): 注文頻度が高い上位5~10社にWeb発注への切り替えを案内する
・第2段階(2~3か月目): 残りの取引先に順次案内し、FAX発注との併用期間を設ける
・第3段階(4か月目以降): Web発注率が80%を超えたら、FAXの受付を縮小する
取引先への案内は「24時間いつでも発注できます」「注文履歴がいつでも確認できます」というメリット訴求が効果的です。取引先にとってもFAXの送信確認やリダイヤルが不要になるため、双方にメリットがあります。
かかるコストと使える補助金
受発注システムの導入コストは、ツールの選択と企業規模によって異なります。
従業員10~30名の中小企業であれば、CO-NECTの無料プランからスタートし、取引量の増加に応じて有料プランに移行するのが現実的です。月額費用は無料~数万円が目安になります。
楽楽販売のように販売管理まで一体化するツールは月額6万円~と高めですが、受発注・在庫・請求を別々のExcelで管理している状態をまとめて解消できるため、管理工数全体で見れば投資回収が早いケースもあります。
コスト負担を軽減できる補助金として、以下の制度があります。
・IT導入補助金(通常枠): 受発注システムの導入費用が対象になるケースがあります。補助率1/2以内、上限450万円。IT導入支援事業者経由での申請が必要です。公募スケジュールは年度ごとに変わるため、中小企業庁の公式サイトで最新情報を確認してください。
・IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠): クラウドサービスの利用料が対象になる場合があります。補助率3/4以内(小規模事業者)。受発注システムは対象になりやすいカテゴリです。
よくある失敗と回避策
失敗1: 取引先が切り替えに応じてくれない
「うちはFAXでいい」と言う取引先は必ずいます。全取引先を100%Web化しようとせず、まずはWeb発注率80%を目標にしてください。残りの20%はFAX併用を続けても、転記作業の大半は解消されます。取引先には「24時間発注可能」「注文履歴がいつでも確認できる」という取引先側のメリットを伝えると、切り替えが進みやすくなります。
失敗2: 既存の会計ソフトと連携できない
受発注システムで作成した請求データを、会計ソフト(freee、マネーフォワード等)に取り込めないと、結局手入力が残ります。ツール選定時に「自社の会計ソフトとCSVまたはAPI(自動データ連携の仕組み)で連携できるか」を必ず確認してください。

本記事のまとめ
中小企業の受発注業務は、クラウド型の受発注システムで大幅に自動化できます。
・FAXの読み取り・転記: Web受注で不要に
・納品書・請求書の作成: ボタン一つで自動生成
・在庫確認: リアルタイム自動照合
月20~25時間の工数削減、年間60~80万円のコスト削減が見込めます。CO-NECTなら受注側は無料で始められるので、まずは取引量の多い上位5社との取引で試してみてください。
業務効率化にAIを活用する方法については、姉妹サイトAIマスターズ.TOKYOで詳しく解説しています。
受発注のFAX・Excel管理、そろそろ限界ではありませんか?
受発注の自動化事例や、中小企業がコストを抑えてDXを進める方法を定期的にご紹介しています。
中小企業のDXを身近な業務改善から始めたい方へ、メルマガで実践的なDX推進ノウハウをお届けしています。


コメント