中小企業のSmartHR導入ガイド|労務管理を電子化して入退社・年末調整の手作業を月15時間削減する方法

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「入社手続きの書類を集めて役所に提出するだけで丸2日かかる」「年末調整の時期は総務担当が連日残業」——従業員10〜100名規模の中小企業で、こうした労務管理の負担は決して珍しくありません。

労務手続きの多くは、紙とハンコを前提に作られた業務です。法改正で電子化が認められるようになった今、専用クラウドサービスを使えば、入退社・年末調整・雇用契約の作業時間を大幅に削減できます。

この記事では、国内シェアの大きい労務管理クラウド「SmartHR(スマートエイチアール)」を題材に、中小企業が労務電子化を進める手順とコスト効果を経営者向けに解説します。

中小企業のSmartHR導入ガイド|労務管理を電子化して入退社・年末調整の手作業を月15時間削減する方法

SmartHRとは?経営者向けにわかる用語解説

SmartHRとは、入退社手続き・年末調整・雇用契約・マイナンバー管理など、労務に関わる手続きをクラウド上で完結できるサービスです。社労士事務所ではなく、社員が自分のスマートフォンから情報を入力する点が大きな特徴です。

従来の労務業務との違いは次のとおりです。

従来: 紙の書類を印刷し、社員が記入・押印してから総務が役所へ提出
SmartHR: 社員がスマホで入力すると、必要書類が自動生成され電子申請まで完了

マイナンバー収集・社会保険資格取得届・雇用保険資格取得届などが、ボタン一つで電子申請されます。社労士事務所に頼んでいた手続きの一部を、自社で完結できるようになります。

導入で期待できる効果(数字で見るROI)

従業員50名・総務担当2名のサービス業B社の事例をもとに、削減効果の目安を示します。

業務 導入前 導入後 削減効果
入社手続き(1名あたり) 3時間 30分 2時間30分削減
退職手続き(1名あたり) 2時間 20分 1時間40分削減
年末調整(社員50名分) 80時間 20時間 60時間削減
雇用契約書の作成・郵送 月8時間 月1時間 月7時間削減
合計(月平均) 月25時間 月10時間 月15時間削減

時給換算(2,500円)で計算すると、月15時間の削減は月3万7,500円・年間45万円相当のコスト削減です。さらに紙・印刷・郵送費の削減(年間15万円程度)を加えると、年間60万円の効果が見込めます。

導入の具体的な進め方(4ステップ)

1. プラン選定と無料トライアル

SmartHRには複数のプランがあります。中小企業に向いているのは「労務管理プラン」または「人材マネジメントプラン」です。料金は社員数によって変わるため、見積もり依頼が必要です(執筆時点)。

導入前に15日間の無料トライアルを活用してください。社員5名分のデータで試験運用すれば、自社の業務にフィットするか判断できます。総務担当者が触ってみて違和感がないかを最初に確認するのが失敗を防ぐコツです。

2. 社員情報の初期登録

既存社員の情報をSmartHRに登録します。Excel管理していたデータがあればCSVファイルで一括取り込みできます。登録項目は次のとおりです。

基本情報: 氏名・生年月日・住所・連絡先
雇用情報: 入社日・所属・役職・給与
家族情報: 配偶者・扶養家族(年末調整に必要)
マイナンバー: 本人と扶養家族分(暗号化されて保管される)

初回の登録作業は、社員50名で1〜2日程度です。社員本人にスマホから入力してもらう「招待機能」を使うと、総務の手間がさらに減ります。

3. 電子申請のセットアップ

SmartHRから役所への電子申請を行うには、e-Gov(電子政府の総合窓口)との連携設定が必要です。具体的には法人の電子証明書(GビズID)の取得が前提となります。

GビズIDの取得は無料ですが、申請から発行まで2〜3週間かかります。SmartHR導入を決めたら、最初にGビズIDの申請を進めておくと、移行がスムーズです。

4. 試験運用と本格運用への移行

最初の入退社手続き1〜2件は、紙の手続きと並行して進めることをおすすめします。電子申請の結果がきちんと役所に届いているか、確認しながら進めると安心です。1ヶ月程度の試験運用で問題なければ、本格運用に切り替えます。

かかるコストと使える補助金

費用項目 金額(税別) 備考
SmartHR月額利用料 社員数により変動(要見積もり) 従業員50名規模で月3〜5万円が目安
初期費用 0円 初期費用は無料
GビズIDの取得 0円 法務局や役所の電子証明書は別途必要な場合あり
導入支援サービス 10万〜30万円(任意) 初期設定・社員教育を外部委託する場合

(執筆時点: 2026年4月)

SmartHRはIT導入補助金2025の対象ツールに登録されています。通常枠を活用すれば、導入費用の最大1/2(上限450万円)が補助される可能性があります。申請には認定ITベンダーを通じた手続きが必要ですので、SmartHRの認定パートナーに相談するのが近道です(執筆時点。最新の公募情報を必ず確認してください)。

補助金の詳細はDXマスターズ.TOKYOのDX補助金・制度カテゴリーでも各制度を解説していますので、あわせてご活用ください。

よくある失敗と回避策

社員のITリテラシー差で入力が進まない: スマホ操作に不慣れな社員には、紙の入力用紙とSmartHR画面のスクリーンショットを並べた手順書を作って渡す。最初の1〜2人は総務担当が画面共有しながら一緒に入力する
電子申請がエラーで届かない: GビズIDの権限設定が原因のことが多い。e-Govのマイページで申請履歴を確認する習慣をつける。最初の3件は紙の控えも残しておく
マイナンバー収集が遅れる: SmartHRには「マイナンバー収集状況の一覧」があるので、月1回チェックして未収集者へ自動リマインドを送る運用にする
年末調整で従来の運用に戻ってしまう: 初年度は社労士・税理士に「SmartHR出力データから給与システムへの取り込み手順」を確認してもらう。データ連携が確立すれば翌年から運用が安定する

本記事のまとめ

SmartHRは、紙とハンコ前提だった労務業務を社員のスマホ入力に置き換えることで、月15時間・年間60万円相当のコスト削減につながる労務管理クラウドです。導入時はGビズID取得とプラン選定に時間がかかるため、年末調整の3ヶ月前から準備を始めることをおすすめします。

クラウドツール全体のDX推進については姉妹サイトLinuxMaster.JPでも社内サーバーのコスト削減事例を紹介しています。情報セキュリティ面の対策とあわせて検討すると、労務電子化の全体像が見えてきます。

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