kintoneで始める中小企業の業務管理|Excel管理から脱却して月30時間を削減する方法

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「顧客リストはExcel、案件管理もExcel、日報もExcel……」。従業員10〜100名規模の中小企業では、あらゆる情報をExcelで管理しているケースが非常に多いです。しかし、ファイルが増えるほど「どれが最新版かわからない」「同時に編集できない」「外出先から見られない」といった問題が積み重なり、月30時間以上のムダな作業が発生しています。

kintone(キントーン)は、サイボウズ株式会社が提供するクラウド型の業務アプリ作成プラットフォームです。プログラミング不要で、自社の業務に合わせた管理ツールをドラッグ&ドロップで作れます。顧客管理、案件管理、日報、在庫管理など、これまでExcelで回していた業務をそのままクラウド化できるのが特徴です。

この記事では、kintoneを使った中小企業の業務管理について、導入の手順・具体的な活用例・コスト・補助金情報まで、従業員10〜100名規模の企業向けにわかりやすく解説します。

kintoneで始める中小企業の業務管理|Excel管理から脱却して月30時間を削減する方法

kintoneとは?Excelの限界を超える業務アプリプラットフォーム

kintone(キントーン)は、サイボウズ株式会社が2011年にリリースした国産のクラウドサービスです。「業務アプリ」と呼ばれる管理ツールを、マウス操作だけで自作できます。

Excelとの最大の違いは、「データベースとして使える」という点です。Excelはあくまで表計算ソフトなので、複数人で同時に編集すると上書き事故が起きます。kintoneはクラウド上のデータベースなので、10人が同時にアクセスしても問題ありません。変更履歴も自動で残ります。

kintoneでできることの代表例を挙げます。

顧客管理: 会社名・担当者・対応履歴をまとめて管理。検索やフィルターで即座に探せる。
案件管理: 商談のステータスを「見込み→提案中→受注→失注」と可視化。進捗が一覧でわかる。
日報・週報: スマートフォンから入力でき、上長がコメントを返せる。紙やメールの回覧が不要になる。
在庫管理: 入出庫のたびにデータを更新し、リアルタイムの在庫数を全員が確認できる。
経費申請: 申請→承認のワークフローをkintone上で完結。紙の回覧と押印が不要になる。

kintoneは日本国内で32,000社以上に導入されており(2025年時点、サイボウズ公式発表)、中小企業から大企業まで幅広く利用されています。操作画面が日本語なのはもちろん、サポートも日本語で受けられるため、海外製ツールに不安がある企業でも安心して使えます。

比較項目 Excel管理 kintone
同時編集 上書き事故のリスクあり 複数人で同時にアクセス可能
外出先からのアクセス VPNやファイル共有が必要 ブラウザ・スマホアプリで即アクセス
変更履歴 手動で「_v2」「_最新版」と管理 自動で全変更履歴を記録
検索・集計 VLOOKUPやピボットテーブルが必要 ワンクリックでフィルター・グラフ表示
権限管理 ファイル単位でしか制御できない フィールド単位で閲覧・編集権限を設定

導入のメリット — 数字で見る業務改善効果

kintoneを導入すると、Excel管理で発生していた工数がどれくらい減るのでしょうか。従業員30名規模の企業を想定した試算を紹介します。

顧客情報の検索・転記: Excelファイルを開いて目的のデータを探し、別のシートに転記する作業は、kintoneの検索・コピー機能で月8時間→月1時間に削減できます。
ファイルの最新版探し: 「顧客リスト_最終版_修正2.xlsx」のようなファイル名が並ぶフォルダから正しいファイルを探す作業は、kintoneならそもそも発生しません。月3時間→月0時間です。
データの集計・レポート作成: Excelでのピボットテーブル作成やグラフ更新は、kintoneの集計機能でワンクリックに変わります。月6時間→月1時間に短縮できます。
承認・回覧フロー: 紙やメールで回していた承認作業は、kintoneのプロセス管理機能で月5時間→月1時間に短縮できます。

業務 Excel管理時 kintone導入後 削減時間
顧客情報の検索・転記 月8時間 月1時間 月7時間
最新ファイルの確認・探索 月3時間 月0時間 月3時間
データ集計・レポート作成 月6時間 月1時間 月5時間
承認・回覧フロー 月5時間 月1時間 月4時間
データ修正・重複対応 月8時間 月2時間 月6時間
外出先からの情報確認 月5時間(帰社後に対応) 月0時間(スマホで即確認) 月5時間

合計で月30時間の削減です。時給2,000円で計算すると月6万円、年間では約72万円のコスト削減に相当します。kintoneのスタンダードコース(月額1,650円/ユーザー)を10名で利用しても年間約19.8万円ですから、差し引き年間50万円以上のプラスになります。

kintoneで始める中小企業の業務管理|Excel管理から脱却して月30時間を削減する方法 - 解説

具体的な進め方 — 4つのステップで始めるkintone導入

1. 30日間の無料トライアルに申し込む

kintoneは30日間の無料お試し期間が用意されています。クレジットカード不要で、すべての機能を試せます。

サイボウズの公式サイト(https://kintone.cybozu.co.jp/)にアクセスし、「無料お試し」ボタンから申し込みます。会社名・氏名・メールアドレスを入力すると、数分後にログインURLとパスワードがメールで届きます。

まず試すべきは、既存のExcelファイルの取り込みです。kintoneには「Excelからアプリを作成」という機能があり、既存のExcelファイルをアップロードするだけで、列名が自動的にフィールドに変換されます。顧客リストや案件管理表をそのままkintoneアプリに移行できます。

2. まず1つの業務アプリを作る

最初に作るアプリは「最も困っている業務」から選びます。おすすめは顧客管理アプリです。理由は3つあります。

ほぼ全社で使う: 営業・総務・経理など、複数の部門が参照するので導入効果が見えやすい。
データ量が多い: Excelの限界を最も感じやすい業務なので、kintoneの恩恵が大きい。
テンプレートが用意されている: kintoneのアプリストアに「顧客管理」のテンプレートがあり、ゼロから設計する必要がない。

アプリの作り方はシンプルです。管理画面の「アプリを作成」からテンプレートを選び、必要に応じてフィールド(入力項目)を追加・削除します。たとえば「会社名」「担当者名」「電話番号」「対応履歴」「ステータス」といった項目をドラッグ&ドロップで配置するだけです。

3. 2週間のテスト運用で課題を洗い出す

アプリが完成したら、まず3〜5名の少人数で2週間テスト運用します。全社に展開する前にテストする理由は、「実際に使ってみないとわからない改善点」が必ず出てくるからです。

テスト期間中に確認するポイントは次の3つです。

入力項目は過不足ないか: 「この項目は不要だった」「この情報も入力したい」というフィードバックを集めます。フィールドの追加・削除はいつでもできるので、気づいた時点で修正しましょう。
スマートフォンからの操作性: kintoneにはスマホアプリがあります。外出先からデータを入力・閲覧する場面を想定し、モバイルでの操作感を確認します。
既存のExcelとの併用ルール: テスト期間中は「kintoneに入力したら、Excelには入力しなくてよい」というルールを明確にします。二重入力が発生すると現場の負担が増え、導入への不満につながります。

4. 全社展開とアプリの追加

テスト運用で問題がなければ、正式に有料プランを契約し、全社に展開します。展開時のポイントは3つです。

操作説明会を30分で実施: kintoneの基本操作は「レコードの追加」「検索」「コメント」の3つだけです。30分の説明会で十分にカバーできます。操作に慣れていない社員向けに、手順書を1枚作っておくとスムーズです。
Excelの「完全廃止日」を決める: 「来月1日からはkintoneのみ」と期限を決めます。「どちらも使ってよい」とすると、いつまでもExcelに戻る人が出て定着しません。
アプリを順次追加する: 顧客管理が定着したら、次に案件管理、日報、経費申請とアプリを増やしていきます。一度に全てをkintone化せず、1〜2か月に1アプリずつ追加するのが成功のコツです。

かかるコストと使える補助金

kintoneの料金プランは2種類です(執筆時点: 2026年3月、税込価格)。

コース 月額(税込) 年額(税込) 主な機能
ライトコース ¥1,100/ユーザー ¥13,200/ユーザー アプリ作成・外部連携なし
スタンダードコース ¥1,650/ユーザー ¥19,800/ユーザー アプリ作成・外部連携・プラグイン・API

※最低契約ユーザー数は5名から。ゲストユーザー(社外の取引先など)は1名あたり月額¥660〜¥1,320で追加可能。

従業員規模別の月額コスト目安は次のとおりです。

従業員数 ライトコース(税込) スタンダードコース(税込)
10名 ¥11,000/月 ¥16,500/月
30名 ¥33,000/月 ¥49,500/月
50名 ¥55,000/月 ¥82,500/月

おすすめはスタンダードコースです。ライトコースは外部サービスとの連携やプラグインが使えないため、業務の幅を広げたいときに壁にぶつかります。「最初はライトで始めて後からスタンダードに変更する」こともできますが、データ移行の手間を考えると、最初からスタンダードで始めるほうが効率的です。

コスト負担を軽減する補助金として、以下の制度が活用できる可能性があります。

IT導入補助金(通常枠): kintoneは「IT導入補助金」の対象ツールとして登録されています。IT導入支援事業者を通じて導入する場合、導入費用の1/2以内(上限450万円)が補助されます。2026年度の公募スケジュールは中小企業庁の公式サイトで確認してください(2026年3月執筆時点)。
小規模事業者持続化補助金: 業務効率化を目的としたIT導入費用として申請できる場合があります。補助率2/3以内、上限50〜200万円。商工会議所経由での申請が必要です。

よくある失敗と回避策

失敗1: 最初から全業務をkintone化しようとする

「せっかく導入するなら一気にやろう」と、顧客管理・案件管理・日報・経費申請・在庫管理を同時にアプリ化しようとするケースがあります。しかし、社員がkintoneの操作に慣れていない状態で複数のアプリを同時に使い始めると、混乱して「Excelのほうが楽だった」という声が出ます。まず1つの業務アプリを2〜4週間使いこなしてから、次のアプリを追加しましょう。

失敗2: Excelと併用期間を長く取りすぎる

「しばらくはExcelとkintoneの両方に入力してください」という運用は危険です。二重入力は現場の負担が2倍になるため、「面倒だからExcelだけでいいや」と元に戻ります。テスト運用は2週間で区切り、正式導入後は「kintoneのみ」と明確に切り替えましょう。Excelのデータはkintoneに取り込んだうえで、アーカイブフォルダに移動して「参照専用」にします。

失敗3: アプリの項目を増やしすぎる

kintoneは自由にフィールドを追加できるため、「念のためこの項目も」と入力欄を増やしがちです。しかし、入力項目が多いと1レコードの登録に時間がかかり、入力が面倒になります。最初は「必須入力5〜7項目+任意入力3〜5項目」程度に絞り、運用しながら本当に必要な項目だけを追加するのが定着のコツです。

kintoneで始める中小企業の業務管理|Excel管理から脱却して月30時間を削減する方法 - まとめ

本記事のまとめ

kintoneは、プログラミング不要で業務アプリを自作できる国産クラウドサービスです。Excel管理で発生していた「最新版がわからない」「同時編集できない」「外出先から見られない」という問題を根本から解決できます。

ステップ1: 30日間の無料トライアルに申し込み、Excelファイルを取り込んでみる
ステップ2: 最も困っている業務(おすすめは顧客管理)で1つアプリを作る
ステップ3: 3〜5名で2週間テスト運用し、改善点を洗い出す
ステップ4: 全社展開後、1〜2か月に1アプリずつ業務を移行する

スタンダードコースは月額1,650円/ユーザーから始められます。10名で月16,500円、年間約19.8万円の投資に対し、月30時間の工数削減(年間約72万円相当)が見込めるため、十分に投資回収が可能です。まずは無料トライアルで、今使っている顧客リストのExcelをkintoneに取り込むところから始めてみてください。

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